● 麻 酔 の 安 全 性 に つ い て
「去勢手術や避妊手術で麻酔から覚めなかった」「動物病院での全身麻酔は怖い」。「高齢だからもう麻酔はできない」そんな噂を 聞いたことはないでしょうか? それらはすべて過去の話です。心配はいりません。医療の進歩は日進月歩です。手術自体は去勢は 5分、避妊は30分で終了します。場合によってはよって、術後の痛みや精神的ストレスを2~3日ひっぱってしまう場合もございます が、ほとんどの場合、手術翌日の退院の日には驚くほど元気な姿で飼主のかたを迎えてくれます。
泉門の開口しているチワワ(ペコがある)や短頭種(フレンチブルドッグなど)では麻酔に弱い、麻酔が危険という情報がネットな どでも多く流れております。たしかに、安易に選択した麻酔薬でチワワに麻酔をかけたり、管理不足による短頭種の麻酔、サイトハ ウンド(ウィペット)など筋肉量の少ない犬種での麻酔大量急速投与を行うことは危険です。したがって、安易な麻酔選択や管理に より世の中には麻酔事故が起きてしまっている例が少数ながらあるのかもしれません。こういった情報が増幅されて、これらの犬種 に麻酔をかけるのは危険であるという情報が非常に一般化されてしまったのかと思います。他項にも記載しておりますが、私自身は サイトハウンド、特にイタリアングレーハウンドの麻酔が一番難しいのではないかと考えております。その導入の際に生じる問題点 に関して、当院では生じる事を前提に薬剤を用意しており、そこに対処することですべて問題なく手術終了しております。手技、経 験、麻酔薬の選択に誤りをおかさなければこれらの犬種に麻酔をかけることと他の犬種に麻酔をかけることにおける安全性は同一と 考えていただいてかまいません。また麻酔薬は体表面積あるいは体重で量を決定するわけですから、小さいから危険という事はあり ません。
肝臓、腎臓、心臓、肺の問題。この4つの臓器が健常であること。それに加え、中高齢動物では、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッ シング症候群。この3つのうちひとつでも罹患していれば麻酔は危険と考えております。
当院では術前の血液検査、最新のモニター機器とイソフルレン麻酔により極めて安全な麻酔方法を行っております。また私(院長) がすべて導入および気管挿管を行うようにしております。老齢時疾患時にも、プロポフォール&アクトシン麻酔法を使用し、より体 に配慮した麻酔方法を行っております。年齢が15才を超えていれば術前点滴、術前酸素投与をおこなったあとに、きわめて緩除に麻 酔を導入し、維持麻酔に切り替えます。また術中点滴も行い、腎臓への負担を軽減するするようにしております。術後の覚醒が悪い 場合には、酸素室にいれ状態の安定をまちます。。総合的に考え現在では人間と同等のリスク。基本はまったく安全なものと考えて いただけるとよいと思います。
● 当 院 の 全 身 麻 酔 件 数
・当院の手術日は月曜、火曜、金曜、土曜になっております。基本は1日2〜3の手術をおこなっておりますので、月に32〜40件。年間では年末年始の手術を省いたとしても、最低でも350件の全身麻酔を行っております。